第2章 電力自由化って、どういうこと?

世界から一周以上遅れの日本の電力自由化

 「電力自由化」というのは電気を誰でも自由に販売することができるし、だれでも自由に電力小売会社や電気の種類を選ぶことができるという意味です。第1章で説明した「電気の池」(送電網)の仕組みを使うことで、これが可能になります。
これまでは電気の池は、日本に十社ある大手電力会社がほぼ独占してきました。しかし日本でも、電力自由化は少しずつ進み、契約電力2000kW以上のユーザーには2000年から開始され、2004年から500kW以上、2005年から50kW以上に拡大されました。つまり高圧ユーザーに関してはすでに全面実施されています。2016年からはじまるのは、一般家庭を含む低圧ユーザー部門で、これですべてのユーザーが対象になるので、「完全自由化」などと表現されているのです。
全電力ユーザーの中で低圧部門は4割ほどで、6割の高圧部門がこれまでも自由化されていたにも関わらず、十の大手電力会社以外のシェアは2%程度でした。2011年の3.11後に少し増えて4%くらいになりました。それでも「倍増」ということになります。海外での自由化の進み方と比べると、一周遅れ以上に遅れています。(図4)

図4 電力システム改革 日本と海外の比較

fig4

十の大手電力会社以外の小売電力会社のことを、「PPS」または「新電力」と呼んでいますが、発電所の数や顧客の数など、その規模は小さく、大手電力会社とは全然違います。日本では、この規模の差が諸外国に比べて大きく、なかなかシェアの変化が難しかったのです。
それを大胆に変えようというのが、本来の電力システム改革です。この改革は、1)系統(送電線網)の広域運用、2)電力自由化、3)発送配電の分離の三つに大別されます。系統の広域運用は今年度(2015年度)からはじまっていて、「電力広域的運営推進機関」という大手電力会社からは独立した団体が設立され、系統の運用を担うことになりました。といっても、まだ誕生したばかりなので、歩きながらルールをつくるという状態。とても機能している状態とは言えません。(図5)

図5 日本の電力システム改革の流れ

fig5

2020年の発送電分離がクライマックス

とはいいながらも、図5の最後の段階、「送配電部門の法的分離」が電力システム改革のクライマックスとなります。これまで大手電力会社が、発電と送配電、小売をすべて独占してきたのですが、発電と小売部門を競争分野として開放し、残る送配電部門も電力会社から切り離されます。2020年には、10電力すべての送配電網は図6のように「送電子会社」に移管され、その管理は「電力広域系統運用機関」に一括して任される予定です。

一方で「送電子会社」は十の電力会社による持株会社です。所有権は残っており、機器の新設、改善などは「独自判断」が許されない可能性があります。「送電子会社」にだけは、コスト意識を希薄にさせる総括原価方式がそのままで、放漫な経営が行われ「不適切な費用」がここに放り込まれる可能性がなきにしもあらずです。

現在でも、送電網の利用料金である託送料金の中に「核燃料再処理費」などの、本来は原発の発電コストであるべき費用が放り込まれています。これからの5年間は、そういうものをもっと見える化し、社会的議論としていく必要があると思います。

図6 発送電および小売の分離

fig6

電力システム改革は、ひとことで言えば、大手電力が分割され解体されるという大きな改革です。日本の経済界を事実上支配してきた大手電力を解体?それも、あの経産省が推進?怪しいですね。当然のように、大手電力は猛烈に抵抗しています。この問題を審議している審議会(実際には○○委員会や○○WGという名称で、十いくつもつくられています。)には、彼らの代理人が多数送り込まれています。ただでさえ、生温い経産省のシナリオを、さらに骨抜きにし、覆しています。その最大目標にされているのが、どうも「再生可能エネルギーをつぶせ!」ということのようなのです。この「再生可能エネルギーつぶし」の具体的な内容については第4章で詳しくお話します。

第3章 日本の再生可能エネルギーのポテンシャル

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