第3章 日本の再生可能エネルギーのポテンシャル

風力発電の力は日本を4つまかなえる

再生可能エネルギーつぶしの話の前に、日本にはどんな再生可能エネルギーの可能性があり、その潜在的な能力はどのくらいなのかをちょっと見てみたいと思います。

図7は2010年に環境省が行った「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」をベースに作ってみたものです。太陽光には経済産業省の「住宅導入用太陽光のポテンシャル調査」の結果も合算し、バイオマスは2012年2月のバイオマス活用推進会議の数字を参考にしました。

小水力と地熱に関しては、環境省の調査結果をそのまま使いました。地熱には温泉熱利用という方式も含まれています。

環境省のポテンシャル調査では、「kW」での数字しか出されていませんでしたので、筆者の方で表にあるような換算式を用いて「kWh」の数字を出しました。バイオマスは、もともとの調査結果の数字がkWhでした。

図7 日本の再生可能エネルギーポテンシャル

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図7の換算式は風力と太陽光は経験的な1kWあたりの年間発電量の平均的な数値、小水力、地熱、バイオマスは稼働率の推測に基づいた数値です。ちなみに、小水力は57%、地熱は70%、バイオマスは68%で計算しています。

この図からわかることは、日本は風力発電のポテンシャルが圧倒的に高いということです。四方を海に囲まれた日本は、各地で風力発電に最適な風を持っているのです。すでに日本中のどこが風量発電適地かという調査は完全に終わっていると言います。だからこそ、こんなポテンシャルの算定ができるのだとも言えます。

日本における風力発電のポテンシャルは陸上と洋上をあわせた出力で19億kW、第1章の図3で説明したように、これが1年間発電したとすると発電量は3.8兆kWhとなります。日本の年間電力需要は1兆kWhなので、その4倍近くになります。しかし、日本は一つしかありませんので、風力発電はこんなに要りません。

そこで翌年の2011年に行われた「導入可能量推計」で見ると、その数値は8000億kWhになります。送電線への距離、工事の難易さ、その他環境影響などを考慮して絞り込まれた数値です。それでもほぼ日本の電力需要をまかなうことができます。しかし、そのほかに太陽光、小水力、地熱、バイオマスの発電のポテンシャルもあります。

風力発電の次には太陽光発電のポテンシャルが大きく、設備容量で2.4億kW、年間発電量で2400億kWhになります。これは日本の陽の当たる屋根、未完成の工場団地などの空地、耕作放棄地などに、一定程度太陽光発電を敷き詰めるということが前提になっています。実際には、固定価格買取制度が2012年にスタートするや1年でこの3分の1近い7800万kWが設備認定を受けるに至りましたので、本当のポテンシャルはもっと大きかったのかもしれません。

その次には、小水力、地熱、バイオマスの順となります。合計で1700億kWhくらいになります。実はバイオマスは環境省のポテンシャル調査では対象とされておらず、数字がありませんでした。そこで同時期のバイオマス活用推進会議の数値を持ってきました。この調査は、ほかの調査よりも比較的大きな数字を想定しています。

風力発電の導入可能量に、太陽光、小水力、地熱、バイオマスのポテンシャルを合計すると1兆2000億kWhになりますので、日本の電力需要を再生可能エネルギーだけでまかなうことは不可能ではないということがわかります。

そこで実際に、再生可能エネルギー100%社会を実現するとどうなるかを考えてみました。日本の電力需要が1兆kWhだったのは2001年の話で、2014年実績は8500億kWh。年々減ってきています。それならば、あと1000億kWh削減して7500億kWhにするのはそんなに非現実的でもないと思います。

実際、東京都では2010年から環境確保条例を実施、大規模工場など電力消費量の大きい施設にCO2削減を義務付けたところ、その対象事業所で23%、東京都全体でも15%の削減を実現しています。(2015年2月19日東京都報道発表資料http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/02/20p2j700.htm )

そして、7500億kWhを再生可能エネルギーで供給するにはどのくらい投資が必要かを図8に示しました。7500億kWhのうちわけを、風力発電で3500億kWh、太陽光発電で2500億kWh、小水力などその他の再生可能エネルギーで1500億kWhとしました。省エネは2500億kWh分を見込みましたが実際には1000億kWh分で足りるかもしれません。

それぞれを建設していくために必要な費用を、現在の建設コストから求めました。風力発電で52.5兆円、太陽光発電で75兆円、その他の再生可能エネルギーで25兆円となりました。省エネルギーは三菱総研の資料がありましたので、それに基づいて比率計算をしています。

その結果、合計はなんと272.5兆円になりました。これは純粋に建設費のみですので、土地取得から道路建設などの関連費用は含まれていません。とくに風力発電の場合は、送電線インフラが必要になりますので、その建設費用を入れると、ゆうに300兆円は超えると思われます。これらはすべて国内事業ですから真水の内需です。そのための産業振興を行えば、とてつもない経済効果と雇用効果をもたらすと思われます。

しかも、余禄として、毎年20兆円も海外流出している化石燃料の購入費を年々減らしていくことができます。10年で再生可能エネルギー100%を達成するなら、ざっと100兆円の無駄な支出が削減されることになります。つまり、200兆円の投資で、化石と原子力の国を再生可能エネルギーの国に置き換えることができるということです。

図8 再生可能エネルギーの大きな経済効果

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第4章 電力自由化と再生可能エネルギー

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